外乱磁場補正機能を備えた 3D HAL® センサ製品のラインナップを拡充
- デュアル・ダイで冗長性による高信頼性を実現
- 高精度位置検出を行うHAR 3900、HAR 3930 3Dセンサ
- SPI、PWM、SENTデジタル・インターフェースをサポート
2021年9月9日
TDK株式会社(社長:石黒 成直)は、新たにHAR 3900 ならびにHAR 3930*磁気センサを開発し、ミクロナス・ブランドの外乱磁場補正機能を備え、ISO 26262の要件を満たす開発を必要とする自動車・産業機器向け3D HAL® 磁気センサ製品ポートフォリオが拡充されたことを発表します。本製品のサンプルは現在提供中で、量産開始は2022年第二四半期を予定しています。
HAR 3900 ならびにHAR 3930は、ISO 26262で規定された、SEooC とASIL-Bに対応しています。そのため、システム・レベルではASIL-Dの開発を行うことが可能です。また、三次元の磁場計測や、二次元の磁場の外乱磁場補正機能を備えた位置検出を特長としています。HAR 3930 は PMW 、SENT (SAE J2716 rev. 4)出力、スイッチ出力をサポートし、HAR 3900 は 高速SPIインターフェースを介して計測データを送信します。どちらのセンサもデュアル・ダイSMD パッケージで提供され、ステアリング角度検出、トランスミッション位置検出、シフタ位置検出、アクセル/ブレーキ・ペダル位置検出など、幅広いアプリケーション**に適しています。
HAR 39xy センサは、2極フェライト磁石を使用する360°までの角度計測と、2極棒磁石を使用する35 mm までの直動計測を行うことができます。二次元の磁場計測では、外乱磁場に影響されない角度計測と直動計測のいずれも可能で、三次元計測では、それぞれのダイで2つの角度を計測します。HAR 3900 は、SPIインターフェースを介してX、Y、Z方向磁場の温度補正された生の値をさまざまな低消費電力モード下でも送信することができます。特許取得済みの3D HAL ピクセル・セル技術が高精度な磁場測定を可能にし、HAR 39xy センサの要となっています。
HAR 39xyセンサの柔軟性の高いアーキテクチャは、高速信号処理を行うDSPとインターフェース設定や機能安全関連タスクの監視を行うマイクロコントローラなど幅広い設定が可能で、ユーザは自身の開発に最適な操作モードを選択することができます。
HAR 39xyセンサには、絶縁されたセンサ・ダイが2つ積み重ねられています。この2つのダイは独立していて、それぞれが同じ磁場を計測しているので、2つのダイの出力信号も同じになります。このセンサの冗長性は、システム・コストを削減できるとともに、プリント基板 (PCB)の小型化とはんだ接合の削減により、システムそのものの信頼性を高めることができます。HAR 3900とHAR 3930 は小型SSOP-16 パッケージで提供されます。
用語集
- 3D HAL® ピクセル・セル:X軸、Y軸、Z軸の磁界を直接計測
- 外乱磁場補正:ハイブリッド車や電気自動車(xHEV)のモータやワイヤーハーネスにより発生する外乱磁場に影響を受けないホールセンサ
- masterHAL®:外乱磁場補正機能を備え、柔軟性の高いアーキテクチャで多次元磁界計測を行うポジション・センサの登録商標
主要アプリケーション**
- ステアリング角度位置検出
- ギア・シフタ
- ブレーキ位置検出
- トランスミッション・システム位置検出
- アクセル位置検出
主な特長と利点***
- ISO 11452-8の要件を満たす外乱磁場に影響されない位置検出(直線と360°の回転計測)
- 磁場振幅勾配を含む外乱磁場補正 (180°の回転計測)
- X軸、Y軸、Z軸の磁界を計測する真の 3D
- 2つまでの計算された角度、角速度、磁界振幅、チップ温度などの位置情報を伝達
- 温度補正されたX軸、Y軸、Z軸の磁界生値を伝達、HAR 3900は消費電力モード対応
- 機能安全用途でISO 26262に準拠したSEooC対応
- 3.0 V~5.5 V(HAR 3900) 3.0 V~18 V (HAR 3930)の幅広い電源電圧
- - 40 °C~160 °Cの幅広い動作周囲温度で自動車向けに最適
- SSOP16 SMDデュアル・ダイ・パッケージ
主要データ
型番 | HAR 3900、HAR 3930 |
パッケージ | SSOP-16 |
デジタル出力フォーマット | HAR 3900: SPI、HAR 3930: PWM、SENT、スイッチ出力 |
角度精度 | ±0.5° (磁束密度10 mT時) |
検知磁場強度 | 10 mT~130 mT |
機能安全 | ISO 26262に基づいて開発されたASIL-B ready |
* HAR 39xyは、フラウンホーファー集積回路研究所(IlS)のライセンスを使用しています。
** ターゲット・アプリケーションは一例で、システム・レベルで確認される必要があります。
*** すべての動作パラメータは、実際のアプリケーションごとにお客様により検証される必要があります。
TDK株式会社について
TDK株式会社(本社:東京)は、スマート社会における電子デバイスソリューションのリーディングカンパニーを目指しています。 独自の磁性素材技術をそのDNAとし、最先端の技術革新で未来を引き寄せ(Attracting Tomorrow)、社会の変革に貢献してまいります。
当社は各種エレクトロニクス機器において幅広く使われている電子材料の「フェライト」を事業化する目的で1935年に設立されました。主力製品は、積層セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、インダクタ、フェライトコア、高周波部品、ピエゾおよび保護部品等の各種受動部品をはじめ、温度、圧力、磁気、MEMSセンサなどのセンサおよびセンサシステムがあります。さらに、磁気ヘッドや電源、二次電池などです。これらの製品ブランドとしては、TDK、EPCOS、InvenSense、Micronas、Tronics、TDK-Lambdaがあります。
アジア、ヨーロッパ、北米、南米に設計、製造、販売のネットワークを有し、自動車、産業電子機器、コンシューマー製品、そして情報通信機器など幅広い分野においてビジネスを展開しています。2021年3月期の売上は約1兆4790億円で、従業員総数は全世界で約129,000人です。
TDK ミクロナスについて
TDK ミクロナスは、TDKにおける磁気センサとそのCMOSプロセスへのインテグレーションのコンピテンス・センターです。TDK ミクロナスは、四半世紀以上のセンサとアクチュエータを自社一貫生産で製造してきた優れた経験を有しています。1993年、初めてのCMOSテクノロジを用いたホールセンサを発表して以来、自動車/産業機器向けに50億個を超えるセンサを出荷しました。事業本部はフライブルク・イム・ブライスガウにあります。従業員数は約1000 人です。