外部信号処理および外乱磁場補正機能を備えた新しい3D磁気 センサを発表
- HAL/HAR 3936-4100は、低消費電力機能と外乱磁場補正機能を備えた高精度な位置検知用3D Hallセンサ
- 外部デジタル信号(PWM&スイッチ)を読み取り、その信号を磁気的な位置情報と共にSENTインターフェースを介して送信可能
- 外乱磁場ノイズに対して堅牢なステアリングコラムスイッチ、 ギアセレクタ、ジョイスティック 用途として最適
2024年6月4日
TDK株式会社(社長:齋藤 昇)は、好評を頂いているミクロナスブランドの3D HAL®位置センサにHAL/HAR 3936*を加え、製品ポートフォリオをさらに拡充します。当該製品は、近年の自動車及び産業機器アプリケーションで要求される厳しい要件を満たすことに注力して開発されており、磁気的な位置検出技術の飛躍的な進展を象徴する製品と言えます。多数のプログラミング可能なパラメータと高精度なセンサにより、ステリングコラムスイッチ、ギアセレクタ、ブレーキペダルの位置センサやブレーキストロークセンサといった用途に最適です。** サンプルは既に提供可能で、2024年末の量産開始を予定しています。
堅牢な3D位置センサに対する業界の要求に応え、ISO 26262規格に則って設計されているため、ステアリングコラムスイッチなどの各種アプリケーション向けに信頼性の高いソリューションを提供します。また、当該製品に実装されている低電力モードにより、車両のバッテリーに直接接続して使い、効率を改善することが可能になります。さらに、SENTインターフェイスを備えているため、外部から読み取ったデジタル信号をよどみなく伝送することができ、様々な動作環境における汎用性を高めています。
HAL/HAR 3936には、冗長性と信頼性を高めたデュアルダイバージョンとなるHAR 3936-4100も用意されています。2つの独立したセンサ・ダイを上下に重ねるような構造により、ほぼ同等な磁場を読み取りながら、同期された信号を出力します。これにより、高精度な位置測定が可能となり、近年の各種アプリケーションで要求される厳格な精度要件を満たすことができます。
HAL/HAR 3936に備えられたPWM出力又はSENT出力インターフェースは、ユーザー側で設定することが可能で、これにより、各種アプリケーションの設計柔軟性を高めています。SENTモードでは、SAE J2716 Rev. 4に準拠し、 ティックタイムやフレームフォーマットなどのパラメータも設定可能です。また、入力信号により選択可能な2つのモード、アプリケーションモードと低電力モードが実装されており、動作要件に基づいて消費電力を最適化することができます。
HAL/HAR 3936のアプリケーションモードでは、360°の回転角度や直動、外乱磁場の影響を排除した3Dでの磁石位置検知に優れています。外乱磁場に対して堅牢な3D測定モード では、外部信号を読み取る機能と組み合わせることにより、これまで実現されていないかったロバスト性の高いステリングコラムスイッチが可能になります。このようなセンサ技術を活用することにより、外乱磁界の影響を大幅に抑え、様々なシーンで高精度な測定を可能にしています。
HAL/HAR 3936は、 ISO 26262:2018に則って開発されたASIL-C相当のSEooC (Safety Element out of Context) であり、ASIL-Dを要求する車載アプリケーションをサポートします。また、過酷な環境での使用も想定して開発されており、周囲温度 –40 °C~150 °Cでの動作が保証されているため、自動車及び産業機器アプリケーションに適しています。
シングルダイバージョンのHAL 3936はSOIC8 SMDパッケージ、デュアルダイバージョンのHAR 3936はSSOP16 SMDパッケージで提供します。HAL/HAR 3936は、要求が厳しい3D位置検知アプリケーション向け に信頼性と汎用性の高いソリューションを提供します。
用語集
- 外乱磁場補正機能: ハイブリッド車や電気自動車(xEV)のモーター、ハーネスなどから発生する妨害ノイズとなる磁場の影響を受けず、安定した出力精度を実現する機能
主な用途**
- ステリングコラムスイッチ
- ギアセレクタ
- ブレーキペダル位置検知センサ
- ブレーキストローク検知センサ
主な特長と利点
- 外乱磁場の影響を受けずに360°回転検知及び最大35mmまでの直動を検知可能
- 外部デジタル信号(PWMとスイッチ)を読み取り、SENTインターフェースによって送信可能
- 2つの角度を計算し、2本の独立した出力ピンを介してPWM送信
- H1.A7, F1.1, F1.2やF2.4など様々なSENTフレームフォーマットをサポート
- 回転検知するモードでは、センサと磁石間の機械的誤差に対して高い堅牢性を持っている
- 設計を最適化しているため、回転検知用途ではフィライト磁石を使用可能
- ISO 26262 に則ったASILC対応SEooCであり、機能安全性を求めるシステムに最適
(ASIL Dを要求する自動車安全関連システムに搭載可能) - PWMおよびSENT出力
- スイッチ出力(オープンドレイン)を追加
- -40℃~150℃の広い動作温度範囲に対応しており、車載アプリケーションに適している
パッケージ | 出力フォーマット | 角度誤差 | 検出磁場範囲 | 機能安全 | |
---|---|---|---|---|---|
HAL 3936-4100 | SOIC8 | SENT、PWMとスイッチ | ± 0.6° @ 10 mT、 回転検知モード | 10 mT~200 mT(測定/セットアップモードに依存) | ISO 26262 に準拠しASIL C対応 |
HAR 3936-4100 | SSOP16 |
* HAL/HAR 39xyは、フラウンホーファー集積回路研究所(IlS)のライセンスを使用しています。
** 当社製品にて言及したすべての対象アプリケーションは、実現目的/機能への適合性を主張しておらず、システムでの検証が必要となります
*** すべての動作パラメータは、実際のアプリケーションごとにお客様にてご検証いただく必要があります。
TDK株式会社について
TDK株式会社(本社:東京)は、スマート社会における電子デバイスソリューションのリーディングカンパニーを目指しています。 独自の磁性素材技術をそのDNAとし、最先端の技術革新で未来を引き寄せ(Attracting Tomorrow)、社会の変革に貢献してまいります。
当社は各種エレクトロニクス機器において幅広く使われている電子材料の「フェライト」を事業化する目的で1935年に設立されました。主力製品は、積層セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、インダクタ、フェライトコア、高周波部品、ピエゾおよび保護部品等の各種受動部品をはじめ、温度、圧力、磁気、MEMSセンサなどのセンサおよびセンサシステムがあります。さらに、磁気ヘッドや電源、二次電池などです。これらの製品ブランドとしては、TDK、EPCOS、InvenSense、Micronas、Tronics、TDK-Lambdaがあります。
アジア、ヨーロッパ、北米、南米に設計、製造、販売のネットワークを有し、自動車、産業電子機器、コンシューマー製品、そして情報通信機器など幅広い分野においてビジネスを展開しています。2024年3月期の売上は約2兆1,030億円、従業員総数は全世界で約101,000人です。
製品の詳細情報は https://www.micronas.tdk.com/ja/製品/アングル・センサ/hal-39xy からご参照できます。