高速eモーターの回転位置用に、外乱磁場補正機能を備えたASIL C対応ホールセンサラインナップを追加

• 高速回転するモーター用途向けに、最適化された高速かつ低遅延で検知でき、外乱磁場補正機能を備えたホールセンサによりポートフォリオを拡充
• 極めて過酷な機械的及び電気的環境下でも業界最高レベルの角度精度を実現
• ISO 26262 ASIL Cに対応

2023年4月18

TDK株式会社（社長：齋藤 昇）はミクロナスブランドの高速2D HALセンサHAL 302xを追加し、製品ポートフォリオの充実を図ります。当該製品は、自動車・産業機器アプリケーションにおける外乱磁場補正要求に応え、ISO 26262要件を満たした開発にも対応可能です。新シリーズは、まずHAL 3020とHAL 3021の2種類で構成され、HAL 302xセンサは、差動或いはシングルエンドのサイン及びコサイン信号を出力し、外部マイクロコントローラー/ECUでの角度計算に使用されます。HAL 3020は電動ポンプ、電気弁など、コストが重視されるアプリケーションに最適です。当該センサは、TDK-ミクロナスが提供する組み込みタイプモータコントローラー製品群との組み合わせも容易なので、ポンプやバルブ用モーターのより正確で安全な制御を実現します。HAL 3021は電動パワー ステアリング、e モータ (e アクスル) 、電動ブレーキブースター、電子機械ブレーキ (EMB) などより要求の厳しい高速センシング アプリケーションに適しています。当該製品のサンプルは既に提供可能で、量産は、2024年上期を予定しています。

HAL 302xセンサはパッケージ表面に垂直する磁場（Bz）を検知し、360°の回転角度を計測できます。HAL 3020は、パッケージ表面に対して水平な三つのホールプレートを使用して計測する一方、HAL 3021は六つの水平ホールプレートを使用しています。二つの製品とも、周辺のDC、ACから生じる外乱磁場（ISO 11452-8にて定義）を補正する機能が付いています。センサの内部計算を通じて、高調波ノイズを抑制することができるため、シンプルでコストパフォーマンスの良い2極フェライト磁石を軸上に配置する構成でも、絶対角度の測定を十分に行うことができます。また、外乱磁場補正機能により、高価な磁気シールドや強力な磁石の使用が不要になるため、ハイブリッド車や電気自動車に使用される次世代の電気モータの設計及び製造の柔軟性が高まります。

HAL 3021は、軸の変異、エアギャップの変動、傾斜など静的及び動的に起こる機械的なズレに対して最高の堅牢性を有していることが大きな特長です。これにより、モーターの製品ライフを通じて、信頼性が高く、かつ効率の良い制御を実現できます。また、正弦波と余弦波の振幅のミスマッチ、オフセット エラー、(絶対) 0 角度、直交性エラーなどメインセンサー及びシステム レベルでの非理想成分をオンチップで補正できることにより、ECUの負荷を軽減できます。

HAL 302x は、ISO 26262 で規定されたSEooC ASIL C に対応し、ASIL Dレベルのシステム統合をサポートすることができます。本センサには、さまざまな診断機能が統合されているため、外部ECUからの安全監視を簡素化することにも役立ちます。HAL 302xセンサの動作温度範囲はTj –40 °C ～+170 °Cと幅広く、小型SOIC8 SMD パッケージにて提供されます。

用語集

• 外乱磁場補正機能: ハイブリッド車や電気自動車(xEV)のモーター、ハーネスなどから発生する妨害ノイズとなる磁場の影響を受けず、安定した出力精度を実現する機能

主な用途*

• 安全性が要求される環境でのブラシレスDCモータ (BLDC) 、永久磁石同期型モータ (PMSM)の回転検出
• 電動ブレーキブースター
• 電子機械ブレーキ(EMB)
• クラッチ、トランスミッション用アクチュエータ
• スタータ／ジェネレータシステム
• 電動ポンプ
• 電動バルブ

メイン機能及び利点**

• 360℃高速非接触測定
• DC及びACから発生する外乱磁場ノイズに対する堅牢性 (ISO 11452-8:2015準拠)
• ISO 26262:2018 SEooC ASIL C対応で、機能安全が要求されるシステムに最適、 
  (本センサファミリーはASIL Dレベルが要求される自動車システムに対応できる)
• EMCロバスト性が強い差動及びシングルエンドSIN/COSアナログ出力
• オンチップキャリブレーション、安全監視機能が統合されていることによりECU側の取り組みを削減
• 5mT~250mT の幅広い磁場強度に対応、システムの機構要件や磁場条件に合わせてプログラムで設定可能
• 動作電源電圧3.0 V ～ 5.5 V
• 高速の応答と高出力帯域幅により最大150,000rpm回転のアプリケーションに対応
• 動作Tj 温度範囲 –40 °C ～170 °C
• センサの出力ピンを介してプログラミングする、モジュールレベルでプログラミング可能、
   追加書き込みピンが不要
• 過電圧及び逆電圧保護機能付き

主要データ

* 当社製品にて言及したすべての対象アプリケーションは、実現目的/機能への適合性を主張しなく、システムでのご検証が必要となる
** すべての動作パラメータは、実際のアプリケーションごとにお客様にてご検証いただく必要があります。

TDK株式会社について
TDK株式会社（本社：東京）は、スマート社会における電子デバイスソリューションのリーディングカンパニーを目指しています。 独自の磁性素材技術をそのDNAとし、最先端の技術革新で未来を引き寄せ（Attracting Tomorrow）、社会の変革に貢献してまいります。当社は各種エレクトロニクス機器において幅広く使われている電子材料の「フェライト」を事業化する目的で1935年に設立されました。主力製品は、積層セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、インダクタ、フェライトコア、高周波部品、ピエゾおよび保護部品等の各種受動部品をはじめ、温度、圧力、磁気、MEMSセンサなどのセンサおよびセンサシステムがあります。さらに、磁気ヘッドや電源、二次電池などです。これらの製品ブランドとしては、TDK、EPCOS、InvenSense、Micronas、Tronics、TDK-Lambdaがあります。アジア、ヨーロッパ、北米、南米に設計、製造、販売のネットワークを有し、自動車、産業電子機器、コンシューマー製品、そして情報通信機器など幅広い分野においてビジネスを展開しています。2022年3月期の売上は約1兆9,000億円で、従業員総数は全世界で約117,000人です。

製品の詳細情報は https://www.micronas.tdk.com/ja/products/direct-angle-sensors/hal-30xy からご参照できます。